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令和6年度の報酬改定事項の資料(2024.1.22)を拝見すると、リハビリ関連項目が非常に多い印象です。リハビリ職種への期待が込められた改定と感じています。リハビリテーション科の運営強化が求められているのではないでしょうか?


入所関連項目

認知症短期集中リハビリテーション実施加算の見直し

●認知症を有する入所者の居宅における生活環境に対応したサービス提供を推進する観点から、現行の認知症短期集中リハビリテーション実施加算について、当該入所者の居宅を訪問し生活環境を把握することを評価する新たな区分を設ける。

●その際、現行の加算区分については、新たな加算区分の取組を促進する観点から、評価の見直しを行う。


<現行>

認知症短期集中リハビリテーション実施加算 240単位/日※1週に3日を限度として算定。算定期間は入所後3月以内。

認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) 240単位/日(新設)

認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ) 120単位/日(変更


<算定要件>

●認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) (新設)

○ 次に掲げる基準に適合する介護老人保健施設において、1日につき所定単位数を加算する。

(1)理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が適切に配置されている。

(2)入所者数が、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の数に対して適切なものである。

(3)入所者が退所後生活する居宅または施設等を訪問し、生活環境を踏まえたリハビリテーション計画を作成している。

●認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ) (現行と同じ)

認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)の(1)(2)に該当するものであること。

短期集中リハビリテーション実施加算の見直し

● 短期集中リハビリテーション実施加算について、効果的なリハビリテーションを推進する観点から、以下の取組を評価する新たな区分を設ける。

ア  原則として入所時及び月1回以上ADL等の評価を行った上で、必要に応じてリハビリテーション実施計画を見直していること。

イ  アにおいて評価したADL等のデータについて、LIFEを用いて提出し、必要に応じて提出した情報を活用していること。

● また、現行の加算区分については、新たな加算区分の取組を促進する観点から、評価の見直しを行う。


<現行>

短期集中リハビリテーション実施加算 240単位/日

短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) 258単位/日(新設)

短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ) 200単位/日(変更)

※算定期間は入所後3月以内


<算定要件>

短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) (新設)

○入所者に対して、医師又は医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士もしくは言語聴覚士が、その入所の日から3月以内の期間に集中的にリハビリを行い、かつ、原則入所時および月1回以上ADL等の評価を行うとともに、評価結果等の情報を厚生労働省に提出し、必要に応じてリハビリ計画を見直している。

短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)(現行と同じ)

○入所者に対して、医師等が、その入所の日から3月以内の期間に集中的にリハビリを行っている。

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組の推進

● リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養を一体的に推進し、自立支援・重度化防止を効果的に進める観点か ら、介護老人保健施設におけるリハビリテーションマネジメント計画書情報加算、介護医療院における理学療法、 作業療法及び言語聴覚療法並びに介護老人福祉施設における個別機能訓練加算(Ⅱ)について、以下の要件を満たす場合について評価する新たな区分を設ける。

ア 口腔衛生管理加算(Ⅱ)及び栄養マネジメント強化加算を算定していること。

イ リハビリテーション実施計画等の内容について、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の情報を関係職 種の間で一体的に共有すること。その際、必要に応じてLIFEに提出した情報を活用していること。

ウ 共有した情報を踏まえ、リハビリテーション計画または個別機能訓練計画について必要な見直しを行い、見直しの内容について関係職種に対し共有していること。

<現行>

リハビリテーションマネジメント計画書情報加算 33単位/月

リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(Ⅰ) 53単位/月 (新設)

リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(Ⅱ) 33単位/月

※加算(Ⅰ)、(Ⅱ)は併算定不可


<算定要件>

・入所者ごとのリハビリテーション計画書の内容等の情報を厚生労働省に提出している。必要に応じてリハビリ計画の内容を見直す等、リハビリの実施に当たって、当該情報その他必要な情報を活用している。

・口腔衛生管理加算(Ⅱ)および栄養マネジメント加算を算定している。

・入所者ごとに、医師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、看護職員、介護職員その他の職種の者が、リハビリ計画の内容等の情報その他必要な情報、入所者の口腔の健康状態および入所者の栄養状態に関する情報を相互に共有している。

・共有した情報を踏まえ、必要に応じてリハビリ計画の見直しを行い、内容について、関係職種間で共有している。


介護老人保健施設における在宅復帰・在宅療養支援機能の促進

■在宅復帰・在宅療養支援等評価指標及び要件について、介護老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援機能を更に推進する観点から、指標の取得状況等も踏まえ、以下の見直しを行う。その際、6 月の経過措置期間を設けることとする。

ア入所前後訪問指導割合に係る指標について、それぞれの区分の基準を引き上げる。

イ退所前後訪問指導割合に係る指標について、それぞれの区分の基準を引き上げる。

ウ支援相談員の配置割合に係る指標について、支援相談員として社会福祉士を配置していることを評価する。

■また、基本報酬について、在宅復帰・在宅療養支援機能に係る指標の見直しを踏まえ、施設類型ごとに適切な水準に見直しを行うこととする。



準備として

認知症短期集中加算の算定に、居宅訪問指導が求められるとともに、入所時訪問指導の割合も5%上昇しました。加算算定者の生活機能向上のために、居宅環境を把握してプランに反映する形ですね。加算目的、施設意義を深める改定になっています。

リハビリ部門としては、支援相談員とのさらなる連携が求められますね。入所予定者と訪問指導実施予定の情報共有を仕組化できるように考えたいですね。


2021年度介護保険改定の主軸のひとつである、厚生労働省へのデータ提出。

皆さまの施設におかれましても、ご苦労なされたことと思います。

リハビリテーション関連においては、4月当初猶予期間がなかったため、必死になってリハビリ実施計画の作成をしておりました・・・

記録ソフトの変更などが月末に発生し、泣く泣く再入力なんてこともありました・・・


そういったドタバタを乗り越え、6月には老健・デイケア・訪問リハのデータ入力を完了し、無事すべてのリハビリテーション実施計画書の提出を終えることができました!!


私が所属する京都市内の老健施設において、2021年7月現在のデータ提出進捗状況は以下のとおり。

  1. 取り組み中・・・5割程度
  2. 取り組み開始へむけた調整段階・・・3割程度
  3. 未定・・・2割程度 


記録ソフトによって進捗状況に違いがある印象ですが、電子カルテ導入自体が未定の施設もあるようです。


厚生労働省からの4月フィードバックは、全国数値統計が返信されたのみ。

フィードバック活用には半年はかかるでしょうか・・・


活用に向けての準備は今後必要ですね!


令和3年度の介護報酬改定では、厚生労働省の本気度が際立っていると感じています。

老健リハビリ関係については、特に自立支援と重度化防止に焦点を当てた対応が必要になると考えます。

■自立支援・重度化防止に向けた更なる質の高い取組を促す観点から、訪リハ・通リハのリハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)を廃止し、基本報酬の算定要件とする。VISITへデータを提出しフィードバックを受けPDCAサイクルを推進することを評価する取組を老健施設等に拡充する。


ポイントをまとめると、

  • リハビリテーションマネジメントⅠが本体報酬に包括化される
  • これまでのリハマネⅡとⅢを中心に、データ提出(LIFE)の上位加算が新設
  • 従来の入浴加算が減算され、自宅入浴を促す上位加算が新設
  • 生活行為向上加算が算定しやすく見直される
  • 要支援者の長期利用(12か月以上)が減算される
  • すべての加算がデータ提出(LIFE)と紐づく仕組み

科学的介護として、本格的にデータを集積し、フィードバック活用を狙う「LIFE」の仕組み。

今回は、しっかりと利用者評価を行い、データを入力するプロセスに焦点が当たっていますが、次は結果をいかに出すのかが求められます。

重度化予防としての排泄支援や褥瘡予防支援にはアウトカム評価が導入されており、リハビリ関連でのアウトカムも想定内にしなければなりませんね。


リハマネⅠが包括されることで、これからのリハビリ運営に悩むリハビリ職が多いと思います。当施設でも大半がリハマネⅠ、15%程度がリハマネⅢでした。

いかに上位加算となるリハマネAとBを算定するか?という議論も大切ですが、地域で当施設がどのような役割をはたしていきたいのか?を本気で議論し設定しなければならない時期だと思います。

そのうえで、リハビリ職の働き方や加算算定のしくみづくりをしないと、次の改定には対応できないだろうと、これまで以上に緊張感を感じています。


全職員がLIFEの意味を理解し、活用できるようになることが、令和3年度の目標になりそうです。

セラピストは個別リハビリによらずマネジメントを主力とし、通所リハという仕組み全体を活用して生活能力を向上していく方法とは?

頭フル回転で、この命題にとりくんでいきます!



令和2年10月15日の介護給付費分科会資料からです。

リハビリから見たポイントとしては、自立支援の促進です。

論点①自立支援及び活動・参加の促進では、リハビリテーションの機能、事業所の体制、活動・参加に対する取組、利用者のADLの維持改善等の状態等の評価とされています。

※これは、デイケアも老健と同じような基準別の報酬体系になるとも予測できます。リハスタッフの常勤配置数や、社会参加の方法、ADL改善のしくみづくり等の検討をはじめておきたいですね。


論点②リハビリテーションマネジメント加算では、VISTやICT活用、業務の簡素化が検討されています。

どの分野でも、ICT(テレビ電話など)の活用があります。医師の関与と業務効率化の波がきてますね。


論点③④は社会参加支援加算と生活行為向上加算についてです。

通所リハ⇒通所介護のように、単なるサービス移行が多くなっていると指摘されています。本来の目的に沿った自立した地域生活支援ができるように要件が変わる可能性があります。

さらに生活行為向上加算は取得率1%未満という、とっても算定しにくいものでした。「廃用症候群や急性増悪等によって生活機能が低下した利用者に対して、適時・適切なリハビリテーションの提供を更に促進する観点から、要件等の見直し…」とあります。どのような要件変更になるでしょう?


論点⑤入浴介助加算について

「現在の算定状況や、入浴介助を通じた利用者の居宅における自立支援・ ADLの向上に資する取組を行っている事業所の状況をふまえ、見直しを検討してはどうか。」とあり、加算包括化が予測されます。


論点⑥リハビリテーション計画書と個別機能訓練計画書の書式の見直し

「リハビリテーション計画書と個別機能訓練計画書の項目の共通化を検討してはどうか」とあります。

リハビリテーション計画書はかなりボリュームがあります。社会参加等の促進の観点からも、共通化は有効と思います。楽しみですね。


論点⑦事業所規模に応じた基本報酬 

「通所リハビリテーションの基本報酬について、事業所の経営努力を損なわないようにする観点から、 経営実態も踏まえながらきめ細やかな見直しを行うことを検討してはどうか」 

資料によると、「751~900人」と「901人~」とで収支差率が逆転しています。

大規模事業所には収支改善の可能性が期待できるかもしれません。




10月30日の介護給付費分科会資料で、介護老人保健施設の検討・方向性が示されました。

方向性を理解し、何がテーマになっているかを理解しておけば、報酬増減に一喜一憂する必要はなくなるかも・・・


リハビリ関連のみを抽出してみました。


今回の資料の特筆することは、資料冒頭にある

「リハビリテーションの強化」です。

論点①介護老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援機能の推進
(1)リハビリテーション機能の強化
 ・在宅復帰・在宅療養支援等評価指標について、 訪問リハビリテーションの実施を更に促進するために、居宅サービス実施数に係る指標において、訪問リハビリテーションの比重を高くすることを検討してはどうか。 
・入所者の状態に応じたより多様なリハビリテーション提供体制を評価するため、リハビリテーション専門職配置割合に係る指標において、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士の3職種 の配置を評価することを検討してはどうか。 より入所者の状態にあったリハビリテーションを提供するため、医師の指示に関する事項を明確化することを検討してはどうか。  

老健施設の在宅支援機能として、「リハビリ」中心に話が展開しています。

訪問リハの設置と言語聴覚士の配置を重視し、積極的な在宅支援や嚥下・口腔機能支援が一層重要となりそうです。


リハビリ関連としては他にも、

論点②リハビリテーション機能の強化
通所・訪問リハビリテーション事業所において活用されているVISITについて、介護老人保健施設 においても活用することを検討してはどうか。

老健入所によるADL(バーセルインデックス)の点数向上が報告されています。

入所サービスにも通所同様のVISIT活用となりそうですね。

介護のデータベース「CHASE」との連携も視野に入ると思われます。


これまでも議論されていた、ターミナルケアや中重度支援もポイントです。

論点③中重度者や看取りへの対応の充実 
介護老人保健施設における看取りへの対応を充実する観点から、ターミナルケア加算等の在り方に ついて検討してはどうか。 
 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等に基づく取組を促 進する観点から、対応を検討してはどうか。  


論点⑤入所者への医療の提供(所定疾患施設療養費) 
入所者により適切な医療を提供する観点から、所定疾患施設療養費の算定要件について、検査の実施の明確化、算定期間の延長を行うとともに、対象疾患の見直しを検討してはどうか。  


地域連携としては、医師とかかりつけ医との連携や入所前の居宅ケアマネジャーとの連携が重視されています。


老健を退所することが目的となるのではなく、

「在宅に帰ってから、どのように暮らしていくのか」

目指す支援の中身が問われる改定になりそうです。

当施設では入所5名を基本配置としていますが、専従では3名、2名は兼務です。

4月は3月に引き続く在宅復帰者が多く、5月中旬まで空床が目立っていました(稼働率90%前半)

5月での短期集中登録者は24名、認知症短期登録者22名。

しかし、6月から中長期利用申請が増加し、入退所調整が極めてタイトになってきました。来週からは1日2件程度の入退所訪問指導が続いています(うれし涙)。

突然の入所決定と訪問指導調整などへも対応するため、スケジュール調整も必死です。

基本サービス~週三回のリハビリ調整も、①事前の配置調整、②週間予定調整、③前日調整、④当日調整を実施してクリアしています。

短期集中期間は毎日個別リハビリの提供を行うので、さらなる工夫と対応が求められそうです。

新たなとりくみ方法などがあれば、またシェアします。


平成30年度、強化型・超強化型老健にはリハビリ人員確保が重要となった。

指標では常勤換算5人で5点、3人で3点、3人未満で0点である。仮に100名定員の施設で週3回の個別リハビリを実施するのであれば、少なくとも常勤換算3名の配置が必要になるだろう。


・1週間に300回の個別リハ⇒週6日稼働で1日平均50回

・常勤3名が週5日勤務⇒週15人

・15人が1日20回の個別リハ⇒300回

しかし3名では訪問指導等、本質的在宅支援サービスに手が回らない。




私たちの老健には10名の常勤セラピストが在籍し、以下のように配置した。

訪問リハビリ:2名 通所リハビリ:3名 入所リハビリ:5名

施設本体のベッド回転率10%~15%、入退所は月10名~15名である。春・秋は稼働率が低下し、夏・冬に上昇する一般的な施設であり、短期集中リハビリ登録数は少ない月で10名程度となり、多いシーズンでは30名程度となる。

長期療養者のリハビリは原則午前で3名のセラピストが実施、午後から短期集中や訪問指導に回ることとした。これまでと違ってしっかりとタイムテーブルをつくり、スケジュール管理をするようになった。

①週間セラピスト配置表、②入所リハビリ実施予定表、③SNSで追加予定の周知などで対応している。

6月からは再びオンシーズン突入となるため、一層緻密なスケジュールづくりと共有が必要になる。

(通所は55名定員で平均稼働が1日40名で、セラピスト2.5人/日で対応している)


排せつ支援加算をどれくらい算定されているだろうか?当施設ではとりくみ体制を創るため排泄委員会を立ち上げた。加算算定のためには必要となる手順をつくり、サービスの質を高める仕組みを作る必要がある。自立支援のとりくみを施設全体へ啓発していきたい。

必要と思われる支援計画書等の帳票を作成しましたので参考までに。


排せつ支援加算(告示) 100単位 
排せつに介護を要する入所者であって、適切な対応を行うことにより、要介護状態の軽減若しくは悪化の防止が見込まれると医師又は医師と連携した看護師が判断した者に対して、介護老人保健施設の医師、看護師、介護支援専門員その他の職種が共同して、当該入所者が排せつに介護を要する原因を分析し、それに基づいた支援計画を作成し、当該支援計画に基づく支援を継続して実施した場合は、支援を開始した日の属する月から起算して6月以内の期間に限り、1月につき所定単位数を加算する。ただし、同一入所期間中に排せつ支援加算を算定している場合は、算定しない。 
排泄に介護を要する利用者(※1)のうち、身体機能の向上や環境の調整等によって排泄にかかる要介護状態を軽減できる(※2)と医師、または適宜医師と連携した看護師(※3)が判断し、利用者もそれを希望する場合、多職種が排泄にかかる各種ガイドライン等を参考として、 ・排泄に介護を要する原因等についての分析 ・分析結果を踏まえた支援計画の作成及びそれに基づく支援 を実施することについて、一定期間、高い評価を行う。 
(※1)要介護認定調査の「排尿」または「排便」が「一部介助」または「全介助」である場合等。
(※2)要介護認定調査の「排尿」または「排便」の項目が「全介助」から「一部介助」以上に、または「一部介助」から「見守り等」以上に改善することを目安とする。
 (※3)看護師が判断する場合は、当該判断について事前又は事後の医師への報告を要することとし、利用者の背景疾患の状況を勘案する必要がある場合等は、事前の医師への相談を要することとする 
排せつ支援加算(通知)
 ①本加算は、全ての入所者について、必要に応じ適切な介護が提供されていることを前提としつつ、さらに特別な支援を行って排せつの状態を改善することを評価したものである。したがって、例えば、入所者が尿意・便意を職員へ訴えることができるにもかかわらず、職員が適時に排せつを介助できるとは限らないことを主たる理由としておむつへの排せつとしていた場合、支援を行って排せつの状態を改善させたとしても加算の対象とはならない。
 ②「排せつに介護を要する入所者」とは、要介護認定調査の際に用いられる「認定調査員テキスト2009改訂版(平成27年4月改訂)」の方法を用いて、排尿または排便の状態が、「一部介助」又は「全介助」と評価される者をいう。
 ③「適切な対応を行うことにより、要介護状態の軽減が見込まれる」とは、特別な支援を行わなかった場合には、当該排尿又は排便にかかる状態の評価が不変又は悪化することが見込まれるが、特別な対応を行った場合には、当該評価が6月以内に「全介助」から「一部介助」以上、又は「一部介助」から「見守り等」以上に改善すると見込まれることをいう。
 ④③の見込みの判断を医師と連携した看護師が行った場合は、その内容を支援の開始前に医師へ報告することする。また、医師と連携した看護師が③の見込みの判断を行う際、利用者の背景疾患の状況を勘案する必要がある場合等は、医師へ相談することとする。
 ⑤支援に先立って、失禁に対する各種ガイドラインを参考にしながら、対象者が排せつに介護を要する要因を多職種が共同して分析し、それに基づいた支援計画を別紙様式6の様式を参考に作成する。要因分析及び支援計画の作成に関わる職種は、③の判断を行った医師又は看護師、介護支援専門員、及び支援対象の入所者の特性を把握している介護職員を含むものとし、その他、疾患、使用している薬剤、食生活、生活機能の状態等に応じ薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士等を適宜加える。なお、介護福祉施設サービスにおいては、支援計画に相当する内容を施設サービス計画の中に記載する場合は、その記載をもって支援計画の作成に代えることができるものとすること。
⑥支援計画の作成にあたっては、要因分析の結果と整合性が取れた計画を、個々の入所者の特性に配慮しながら個別に作成することとし、画一的な支援計画とならないよう留意する。また、支援において入所者の尊厳が十分保持されるよう留意する。
 ⑦当該支援計画の実施にあたっては、計画の作成に関与した者が、入所者又はその家族に対し、現在の排せつにかかる状態の評価、③の見込みの内容、⑤の要因分析及び支援計画の内容、当該支援は入所者又はその家族がこれらの説明を理解した上で支援の実施を希望する場合に行うものであること、及び支援開始後であってもいつでも入所者又はその家族の希望に応じて支援計画を中断又は中止できることを説明し、入所者及びその家族の理解と希望を確認した上で行うこと。
 ⑧ 本加算の算定を終了した際は、その時点の排せつ状態の評価を記録し、③における見込みとの差異があればその理由を含めて総括し、記録した上で、入所者又はその家族に説明すること。 

参考資料

※ダウンロードされる方はフォローお願いします!!

排泄支援加算(告示と解釈通知)

排泄支援加算のフローチャート

排泄支援加算計画書(エクセル)

排泄支援計画書(PDF)

※エクセル資料を添付しています。


平成30年度報酬改定で訪問リハビリテーション事業へ新たに要求されるようになったことは、「常勤医師の配置必須化」である。

事業所の医師がリハビリテーション計画の作成に係る診療を行わなかった場合の減算として20単位の減算となる。


人員に関する基準(居宅基準第76 条)

① 医師

イ 専任の常勤医師が1人以上勤務していること。

ロ 指定訪問リハビリテーションを行う介護老人保健施設又は介護医療院であって、病院又場合に限る。)と併設されているものについては、当該病院又は診療所の常勤医師との兼務で差し支えないものであること。

ハ 指定訪問リハビリテーションを行う介護老人保健施設又は介護医療院であって、当該介護老人保健施設又は当該介護医療院に常勤医師として勤務している場合には、常勤の要件として足るものであること。また、指定訪問リハビリテーションを行う介護老人保健施設又は介護医療院であって、病院又は診療所(医師について介護老人保健施設又は介護医療院の人員基準を満たす余力がある場合に限る。)と併設されている事業所において、指定訪問リハビリテーション事業所の医師が、当該病院又は当該診療所の常勤医師と兼務している場合でも、常勤の要件として足るものであること。

②理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士

指定訪問リハビリテーション事業者は、指定訪問リハビリテーション事業所ごとに、指定訪問リハビリテーションの提供に当たる理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を適当数置かなければならない。


訪問リハビリテーション計画の作成(居宅基準第81 条)

① 訪問リハビリテーション計画は、指定訪問リハビリテーション事業所の医師の診療に基づき、利用者ごとに、利用者の心身の状態、生活環境を踏まえて作成することとしたものである。利用者の希望、リハビリテーションの目標及び方針、健康状態、リハビリテーションの実施上の留意点、リハビリテーション終了の目安・時期等を記載する。なお、既に居宅サービス計画等が作成されている場合には、当該計画等に沿って訪問リハビリテーション計画を立案すること。

② 訪問リハビリテーション計画の作成にあたっては①が原則であるが、指定訪問リハビリテーション事業所とは別の医療機関の医師から計画的な医学的管理を受けている患者であって、例外として、当該事業所の医師がやむを得ず診療できない場合には、別の医療機関の医師から情報の提供を受けて、当該情報をもとに訪問リハビリテーション計画を作成しても差し支えないものとすること。


当施設での対応

老健施設の場合、おそらく医師が1名だろう。いくら兼務が可能であるとしても、現状1名の医師が施設を開けてあちらこちらに出向くことは難しいように思える。

当施設では施設長が常勤医師として勤務しているが、週に1回施設長が休みの時に勤務していただいている非常勤医師が1名おり、この非常勤医師に診療を依頼している。

訪問リハビリスタッフが医師と一緒に居宅訪問して、リハビリテーション計画作成に係る診療を行い、リハビリテーションの目的や中止基準、開始時に留意点などを確認している。

非常勤医師が診療した内容やリハビリテーション実施経過は常勤医師である施設長へ報告するとともに、主治医へも状況報告と診療情報提供の依頼は行う予定である。

2018年の改定より老健は機能ごとに5類型へ分類されることになった。

強化型老健では少なくとも週3回以上のリハビリテーションの実施が求められることとなった。

3月のQ&A VOL1では、個別リハビリテーションについて 

「入所者に対し、少なくとも週三回程度のリハビリテーション」とは、理学療 法士、作業療法士又は言語聴覚士が個別リハビリテーション 20 分程度を週3回以上 行うことでよいか。また、当該個別リハビリテーションを実施するにあたり、短期集 中リハビリテーション実施加算、認知症短期集中リハビリテーション実施加算の算定要件に当てはまる場合については、これらの加算を算定してよいか。 (答)  いずれについても貴見のとおりである。

と示された。


この日全国の老健施設は激震が走ったと思われる。

3月23日午後の時点では「20分以上」という記載であったが、夕刻の差し替え版で「20分程度」へ修正された。

「以上」であれば、現在の短期集中リハと変わらないが、「程度」となると程度問題と捉えることができ、解釈の幅が僅かに広がることとなる。

一部の行政区では集団も可ともされていたようだが、現時点ではあくまで「個別」と訂正されている。


私たちの施設での取り組み方針は、現時点では以下の通りとした。

①あくまでリハビリマネジメントの考え方に基づき、利用者個人の課題に対応する

②当面利用者の課題を「移動課題」に着目し、課題別のカテゴリーに分ける

③療法士が各利用者に20分程度の個別的セラピーができるよう小グループを編成する

④1週間の実施予定表を部門責任者が中心に作成し、リハスタッフ間で予定を共有する

⑤4月中に運営上の問題点を見つけて改善する

(※以前記事にした大集団の活用は中止したが、移動課題チャート図を参考にした)


4月1日には頭を抱えていたものの、3月の最終週に一定の準備ができたため、ひとまず混乱はなく経過できた。利用者の反応は「回数が増えてうれしい」という声が大半であった。

まだ4月は週3回を「まわす」ことに集中していたため、プログラム内容や利用者の個別ニーズへの対応には課題が残されている。


次月からのとりくみは、着替え・排泄・入浴などのADL課題にも着目した運動メニューづくりとし、セルフエクササイズを勧めるとりくみを予定している。



平成30年度より、訪問リハビリテーションに専任の常勤医師の配置が必須化されます。これにより、リハビリテーション計画の作成に係る医師の診療が行われない場合は1回あたり20単位の減算になる予定である。


改定案では以下の通り。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合している指定訪問リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、当該指定訪問リハビリテーション事業所の医師が診療を行っていない利用者に対して、指定訪問リハビリテーションを行った場合は、1回につき20単位を所定単位数から減算する。 

※ 別に厚生労働大臣が定める基準の内容は次のとおり。

 指定訪問リハビリテーション事業所の医師による診療を行わずに利用者に対して指定訪問リハビリテーションを行った場合の減算に係る基準 

イ 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。

 ⑴ 指定訪問リハビリテーション事業所の利用者が、当該事業所とは別の医療機関の医師による計画的な医学的管理を受けている場合であって、当該事業所の医師が、計画的な医学的管理を行っている医師から、当該利用者に関する情報の提供を受けていること。

 ⑵ 当該計画的な医学的管理を行っている医師が適切な研修の修了等をしていること。

 ⑶ 当該情報の提供を受けた指定訪問リハビリテーション事業所の医師が、当該情報を踏まえ、訪問リハビリテーション計画を作成すること。

 ロ イの規定に関わらず、平成三十年四月一日から平成三十一年三月三十一日までの間に、イ⑴及び⑶に掲げる基準に適合する場合には、同期間に限り、指定居宅サービス介護給付費単位数表の訪問リハビリテーション費の注10を算定できるものとする 。


前回の改定で二重診療の課題が解決したように思えたところですが、やはり今回の改定のテーマは医療とリハビリテーションですから、仕方ないのかもしれません。

詳しくは解釈通知やQAを頼りにするしかありません。

医師の仕事量が激増しますね。施設本体でのとりくみだけでなく、通所リハビリのリハマネ業務もあり、さらに訪問リハとなると、医師の時間の取り合いになる・・・

減算もしかたないととらえるのであれば、一回270単位・・・

減算を受け入れたとしても、猶予は1年。開業医に適切な研修をうけろとはなかなか言えない。

入所の短期集中リハ加算が240単位ですから、移動時間を考えるならば、マンパワー、実績、施設理念、地域ニーズとを勘案して、バランスをとる必要があるかもしれない。


対応策としては、

1.非常勤医師の勤務日に、セラピストと居宅へ伺い診療していただく。

2.3月に1度はセラピストが施設まで利用者を送迎し、医師の診療を受けていただく。

3.ショートステイやデイケア利用を促し、その日に診療していただく。

などだろうか。このためのマネジメントもセラピストが実施しなければなりません。

なかなかです、リハビリマネジメント。


しかし、ここで一歩踏み出さなければ、地域包括ケアシステムから外れてしまうことになる。

勝負どころです。